世界中で伝統的な裸の付き合いというものは、けっこうあるものです。
欧州ではサウナ文化がありますが、フィンランドでは男女混浴になっているのが普通です。
男女とも体を隠さないでサウナに入るというのは、なにか日本の江戸時代の混浴風呂を思い起こさせます。
アジア太平洋地域では、高温多湿の気候なこともあり、人々が裸に近い姿で日常的に過ごす文化が続いてきました。
近年は西洋文化の影響があって洋服を着るようになっても、重要な祭事には裸になるというのは、日本を含めて共通した風習のようです。
日本で裸の付き合いというと、祭りを思い起こすのではないでしょうか。
ふんどしを締めただけの格好の大勢の男が神輿を担ぐ姿は、全国的に見られます。
神社の祭事では禊を行うときにも、男性は裸になって冷たい水の中に身を沈めて、穢れを祓います。
日本で女性が裸を人前に晒す場面は、日本神話の中にも見られます。
天孫降臨神話のときに、巫女であるアメノウズメが、猿田彦大神の前で上半身を露出したという話も伝わっています。
裸の付き合いが今でも最も日本に浸透している、その象徴といえる文化は銭湯です。
見知らぬ人同士が一つの浴場へ集まって、体を綺麗にしたり温まったり、団らんを求めて集まる場所として機能しています。
よく古代ローマの風呂文化と比較をされますが、日本のようなお風呂文化が残っているのは、高温多湿な気候であり、お風呂が欠かせなかったからでしょうか。
現在の日本のお風呂文化は、スーパー銭湯が普及したり足湯が普及するなど、種類が増えて多様化してきました。
しかし一つだけ危惧をされているのは、人口の減少によって古くからある店舗が閉店に追い込まれることです。
戦後には日本各地に老舗銭湯がありましたが、古くからある店舗は、かなり数を減らしているということです。
これも時代の流なのだと思いますが、日本の昔ながらの裸の付き合いの文化は、今後も残していきたいものです。